年長者で2回のMRワクチンを打っていない人々が危険

http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20120629/1041717/?P=6
より引用
 
<年長者で2回のMRワクチンを打っていない人々が危険>
 世界的にはワクチンによりはしかは減少しつつあります。米国、カナダ、お隣の韓国では、はしかの排除宣言がされています。

 日本では、1966年に不活化ワクチンと生ワクチンの併用による麻疹ワクチン接種が開始。1969年より高度弱毒麻疹の生ワクチンに切り替えられ、1978年10月より定期接種に組み込まれ、接種率は上がりました。しかしながら、地域差が大きかった上に、2回接種が初めて開始されたのは、2006年になってからのこと。

 はしかの流行地域では、1回のワクチン接種だけでも免疫が維持されます。理由は、症状は出ないものの、知らず知らずのうちに曝露される機会があるからだと考えられています。かつての日本もそうでした。しかし、1978年から定期予防接種が開始され、周囲からはしか患者が減ってきて曝露する機会が低下すると、高校生や大学生といった年長者の中で、はしかに対して免疫力が低下した人々が現れるようになりました。そこにはしかの曝露を受けると、1回目の予防接種の効果が薄れ感染し、発病してしまいます。

 つまり、特に年長者で2回のMRワクチンを打っていない人々が危険なのです。

 2007年には高校生、大学生を中心とした流行がおき、学校が休講になるなど社会問題にまでなりました。このときのアウトブレイクの原因は
 ・ワクチン接種率の問題
 ・2回接種が十分に行われていなかった点
 ・保健所で、はしか発症の全例を把握しておらず、早期からの介入ができなかった点
と考えられました。これを踏まえ、国は2012年までにはしかを排除させるキャンペーンを開始。2008年から2012年にかけて1回しかMRワクチン接種がされていなかった中学生から高校生へのキャッチアップが行われ、はしかを診断した医師はすべて保健所に届け出ることを義務付けることで、速やかな接触者の洗い出しと封じ込め作戦を行いました。

<2回のワクチン接種を定期予防接種として行っていないビジネスパーソンが危険>
 残念ながらキャンペーン目標の2012年現在、排除には至っていませんが、はしか輸出国と世界から非難されていた2007年に比べると、はしか患者の報告は大幅に減少し、国内由来ではなく、海外からの輸入例も増えてきました。これはつまり、2回のワクチン接種が効果を示してきているからだと考えられます。

 だからこそ、現在、もっとも危険なのが、2回のワクチン接種を定期予防接種として行っていないビジネスパーソンです。2011年報告の約半数は成人発症でした。世界には、はしか流行国も多く、2011年にはヨーロッパで流行も起きました。海外出張で、はしかをおみやげに持って帰ってくることも十分に考えられます。海外ではしかに発症した場合、感染拡大防止のために本人はもちろん、同行者も移動を制限されることがあります。海外渡航前にMRワクチンを含めた予防接種が必要です。

<風疹は34歳以上の男性は定期予防接種歴なし! 25〜33歳の男女は低予防接種率>
 風疹も同様のことが言えます。

 風疹の予防接種は1976年から接種が開始され、1977年8月から中学生の女子限定で定期予防接種が開始されました。

 1995年からは風疹そのものの流行を抑えることを目標に、生後12〜90カ月未満の男女に定期予防接種が開始されました。このため、移行期間である人々は予防接種していない可能性があります。

 34歳以上の男性は定期予防接種を受けておらず、25〜33歳の男女は、法律の変わり目のために予防接種率が低くなっています。まさに、働き盛りのビジネスパースン世代が風疹の予防接種率が低く、風疹への感染が危惧されています。さらに現在、風疹患者が増加しており、全例把握が開始した2008年以降もっとも多い状況になっており、一層の注意が必要です。

<働き盛りの世代は法律の境目、だから予防接種歴の確認を!>
 はしか、風疹ともにワクチンで防げる病気であり、これらの排除に成功した国々もあります。

 若い世代は2回のMRワクチンを行なっていますが、今まさに働き盛りの世代は法律の境目であり、予防接種歴がはっきりしないことも多いのが実情です。

 他人に感染させてしまう前に今一度、母子手帳を確認し、2回の予防接種歴があるか確認しましょう。はっきりしない場合には、ぜひクリニックへの受診をおすすめします。
 
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