ワクチン廃棄に現場「もったいない」予約取り消しの対応課題

 予約の取り消しが相次ぎ、新型インフルエンザのワクチンが福井市の県立病院で廃棄された問題で、現場の医師たちからは「もったいない」との声が上がっている。ワクチン不足が指摘される中、キャンセルによって使い残したワクチンをどう調整していくかが新たな課題として浮かび上がった。
 「ワクチンが足りず、予約したくてもできない人がいっぱいいるのに、捨てるなんてもったいない」。福井市内で開業する小児科医が早口にまくしたてた。
 現在、多くの医療機関に配分されているワクチンは、成人約20人に接種できる10ミリリットル入りの瓶入りだ。開封後、24時間以内に使い切らねばならないため、予約の取り消しが出た場合などは「一度に使い切れない」という声が上がる。
 この小児科医の病院では8日、1歳〜小学3年生のワクチン接種を実施。約20人の予約があったが、数人から予約の取り消しがあった。「1人でも多くの人に接種させたい」との思いから、同病院の通院者に電話で接種を呼び掛けた。結果、余ったワクチンは捨てずに済んだ。
 この小児科医は「これまでに1000件以上予約を断ってきた。ワクチンは全く足りず、いつどれだけ届くかも分からない。現場では綱渡りの状態が続いている」と漏らした。
 県内の他の病院では、当日にキャンセルされた分のワクチンを入院患者に接種したり、「いつでもいいので受けたい」という人を仮予約として受け付けたりと、ワクチンの調整に努めている。
 県健康増進課は「10ミリリットル入りのワクチンでは廃棄が出るという現場の声を受け、年明けからは1ミリリットル入りのワクチンを配分する予定」と説明する。
2009年12月10日中日新聞(増田紗苗)
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